室内は木をふんだんに使い壁と天井を白い漆喰塗りにして、自然でおおらかな北海道らしさを表現しています。

●建物配置

この敷地の特長は何といっても小樽の街と海を見渡せる北西方向の眺望です。それを生かすために建物の配置は北西の斜面に寄せています。

北東側は境界線ぎりぎりまで隣家の大きな三角屋根が迫っており落雪が敷地内に飛んできます。計算と実地確認により落雪が積もる距離は長くても3m程度であるとわかったので、それより少し余裕をもって距離をとりました。

建物の向きについては方位磁石を片手に何度も現地に立って最も眺望が良いと感じた方角に決めました。真北に対して西に40°向けています。

●サイズ

この家の床面積は46.38㎡(14坪)で、玄関ポーチ部を合わせた建築面積は49.69㎡(15坪)です。住宅と事務所の兼用を想定して最低限必要な床面積として設計しました。これは実に微妙な広さで、もうちょっと広くして床面積50㎡以上になると様々な税制上の優遇措置や長期優良住宅の認定を受けることができます。しかし羊群の設計コンセプトとして家はできるだけ小さいほうがよいですし、特にセルフビルドは大きいと辛い。金銭面の損得も検討した結果、わざわざ広くすべきではないと結論づけました。

●高さ

明かり取り用の高窓を設けることを前提として、建物高さを可能な限り低くすることを設計目標としました。

  • 周囲への圧迫感を減らし景観に馴染ませる
  • 耐震、耐風、断熱など性能面で有利
  • 材料費を減らせるので建設費が有利
  • 屋内空間の容積が小さくなるので冷暖房費が有利
  • 高所作業の恐怖感を減らす

などが理由です。防水性・滑雪性が確保できる範囲で屋根勾配を緩くする、勾配天井として壁際をぎりぎりまで低くする、床高さを極力低くする、など検討を行い設計に落とし込みました。

●間取り

どんな家でも共通するような内容は省くとして、今回の平屋では以下のような事項を検討しました。

  • ぐるぐる歩き回れる回遊動線
  • トイレ・浴室以外はオープンとしドアは設けない
  • 来客スペース(事務室・トイレ・手洗い)とプライベートスペースは視線を遮れる
  • 加齢や病気怪我を想定して床に段差無し(玄関を除く)
  • 床下を収納として活用し床上の収納スペースを減らす

回遊動線は家事や物運びに便利なだけでなく、奥が見え隠れして小さい家でも広く感じます。部屋の仕切りはドアではなくカーテンを設けて必要に応じて開け閉めします。梁の上をオープンにしているので完全に閉じることはなく開放感が保たれます。床はフラットにして階段の無い平屋の良さを生かしています。