リフォーム設計
近隣には空き家が多く、売りたい人もいるのではないかという淡い期待がありました。敷地の開墾で何度も来るうちに顔見知りになった近所の方に話をしてみると、売却を考えている方の連絡先を教えてもらうことができました。相手があることなので詳細は書けませんが、敷地からほど近い築50年くらいの家でした。場所は申し分ないので、さっそくお会いして調査とリフォーム設計の検討を開始しました。
これまでマンションや商業ビルのリフォームは設計したことがあったのですが、築年数の古い木造一戸建ての住宅を調査・リフォーム設計するのは初めての経験でした。やってみるとこれは大変やりがいのある仕事だと確信しました。人口ボリュームの多い団塊の世代が建てた家がいま築40年から50年を迎えて大量に空き家になりつつあります。これを耐震・断熱向上を含めたリフォームによって再活用できれば若い人達が安く住宅を手に入れることができるはずです。もちろん家によっては木材などの腐朽や損傷が激しくリフォーム費用が馬鹿にならない場合も多いのですが、それでも新築を建てる経済的・人材的ハードルが日に日に高くなっている状況をみるとリフォームの重要性は間違いなく増していくでしょう。
古い家は図面が十分に残っていないことが多いので、現場で実測をして図面化します。それをもとに耐震性能を向上させるためにどこを耐力壁にするか考え、不要な間仕切り壁は抜いて広い空間の確保を狙います。断熱も省エネ基準以上を目指してどこにどんな断熱材を入れるのか検討します。窓は必要に応じて位置や高さを変え、ダブルまたはトリプルの複層Low-Eガラスの樹脂サッシに交換します。水廻りや勝手口などは50年前と現在では考え方がかなり違うので現在の暮らし方に合わせた間取りに変更します。
結局のところ、このときは取引条件が折り合わず検討したリフォーム設計が実現することはありませんでした。しかし非常に良い経験をさせてもらったと感謝しています。


