冷水運転とよしずの効果

この家にはエアコンはありません。夏の暑さを緩和する手段の一つとしてヒートポンプ温水暖房システムの冷水運転を試してみました。床下に設置した暖房用放熱器に冷水を流して室内の気温がどれだけ下がるのか、その結果を検証します。ただし日々の温度条件は一定ではないため前後比較の数値は参考程度とお考えください。

ヒートポンプの冷水運転では循環水をエアコンの冷房モードと同じ原理で冷やします。空気は温度が低いほど重くなるという性質があるので、放熱器で冷やされた空気は床下に溜まっていくばかりで何もしないと室内にはなかなか上がってきません。幸い給気口が床下にあるので、屋外からの給気が床下で冷やされ、それが換気扇による負圧で室内に吸い上げられることを期待しました。

ヒートポンプの冷水運転期間(7月21~25日)とその前後10日間における日平均気温の内外温度差を比較しました。

室温(平均)外気温(平均)内外温度差
冷水運転あり26.8℃27.8℃-1.0℃
冷水運転なし26.8℃26.1℃0.7℃

同様に日最高気温の平均を比較します。

室温(最高)外気温(最高)内外温度差
冷水運転あり27.8℃33.3℃-5.5℃
冷水運転なし28.1℃31.6℃-3.5℃

この結果により、冷水運転には-2℃程度の冷却効果があることが推測できます。真夏の暑い時期において2℃の差というのは結構体感できます。

それでは夏のあいだ冷水運転を続ければいいかというと、そうもいかない問題点があります。

  • 放熱器に多量の結露水が生じて床下コンクリート表面に水たまりができる。
  • -2℃の効果にしては消費電力が大きい

コンクリートは吸水する性質がありますが、放熱器の結露はその吸水限度を超えて水たまりができるくらい多量でした。床下全体の湿度も上がっていたはずです。放熱器が原因と断定はできませんが、床下に収納していたバッグの一部はカビが生えてしまいました。

また夏に入って床下からのアンモニア臭が気になるようになりました。調べてみるとコンクリートからアンモニアが発生している可能性が高く、コンクリート内の水分が蒸散する過程や気温が高い時に発散する量が増えるようです。年月が経つにつれ収まっていくはずですが、今回は結露水によって発散が促進されたのかもしれません。涼しくなるにつれて臭いは収まってきているものの来年の夏になっても同じような状態ならば原因を深堀りして対策したいと思います。

いずれにせよヒートポンプの冷水運転を行う場合には結露水を処理する方法が必要です。例えば放熱器の下にトレイを置いて溜まった結露水を定期的に捨てる、などです。

次に別の手段として、よしず(葦簀)の効果を検証します。よしずというのは太いすだれのようなものですが、すだれが巻いたり伸ばしたりして使うのに対してよしずは窓に立てかけて使われることが多いです。この家ではウッドデッキや屋根裏に麻ひもを使って固定しています。テラスのよしずは7月6日、高窓のよしずは8月2日に取り付けました。取付けた日の前後比較では時期的にヒートポンプ冷水運転の効果が混ざってしまうため、取り外した日の前後で比較することとします。まず高窓のよしずについて、10月9日に取り外していますのでその前後10日ずつの内外温度差を比較します。

高窓のよしず室温(平均)外気温(平均)内外温度差
よしずあり22.8℃20.1℃2.7℃
よしずなし23.4℃18.2℃5.2℃
高窓のよしず室温(最高)外気温(最高)内外温度差
よしずあり24.0℃25.1℃-1.1℃
よしずなし24.7℃23.2℃1.5℃

この結果より、-2.5℃程度の冷却効果がありそうですが、このとき同時に天井付近換気扇の連続運転を止めていますのでその効果を差し引いて、高窓のよしずの冷却効果は-1.5℃程度と推測します。

次にテラス窓のよしずです。10月9日に取り外していますのでその前後5日ずつの内外温度差を比較します。このころ急激に秋が深まって気温がぐっと下がりましたが気温と日照時間の条件ができるだけ近い日を選んで比較しています。

テラス窓のよしず室温(平均)外気温(平均)内外温度差
よしずあり23.5℃16.2℃7.3℃
よしずなし20.0℃11.3℃8.7℃
テラス窓のよしず室温(最高)外気温(最高)内外温度差
よしずあり25.0℃21.5℃3.5℃
よしずなし21.5℃15.6℃5.9℃

この結果よりテラス窓のよしずの冷却効果は-1.5℃程度と推測します。前後の外気温差が大きいので建物などの蓄熱効果を含んでしまっている可能性はあります。

まとめとして、ヒートポンプ冷水運転は-2℃程度の冷却効果はありましたが結露や運転コストの問題を考えると極力運転したくはありません。代わりにテラス窓に加えて高窓のよしずをシーズン初めから取り付けることによって同等近い冷却効果が得られる可能性があります。来年は冷水運転をしないで無理なく夏を乗り切れるか、試してみたいと思います。